本当に仕事がキツいと運動しなくなる?の研究
仕事で大きなストレスを感じた後、あなたはどちらを選ぶでしょうか。
何kmも歩いて家に帰るか、それとも電車に乗って家に帰るか。
前者は確かに健康上のメリットがあり、ストレスが軽減される可能性もありますが、多くの人は電車に乗ることを選択するでしょう。
今回は、Journal of Experimental Psychology: Appliedに掲載された研究です。
新しい研究では、運動がどれほど良い効果をもたらすかを分かっていても、なぜ仕事の後に運動しない人が多いのかを解明しようとしました。
ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのSascha Abdel Hadi氏らの研究によると、運動をしなくなる原因は、「仕事のプレッシャー」と、「自分の仕事をどれだけコントロールできるか」にあるといいます。
仕事のルールが厳しいと運動しなくなる
最初の研究では、100人の参加者が職場のシミュレーションに参加しました。
参加者はコールセンターの従業員の役をして、顧客からのメールに返信したり、商品の価格やプロモーションに関する数学的な問題を解いたり、顧客からの生電話に対応したりしました。
従業員に求められるルールが少ない(緩い)条件のグループは、電子メールや電話は友好的な顧客からのものであり、ルールが多い(厳しい)条件では、顧客は不満を抱いているものでした。
また、ルールが厳しい条件のグループには、「笑顔で接客する」ことが明示的に指示され、ルールが緩い条件のグループには、「誠実に行動する」ことのみが求められました。
これらの課題に続いて、参加者は休憩室にある自転車に好きなだけ乗ってもらい(最大15分)、その後、座った状態で雑誌を読んでもらいました。
予想通り、ルールが厳しい条件の人は、緩い条件の人に比べて、自転車に乗っている時間が有意に短かくなりました。
仕事をコントロールできている感覚がないと運動しなくなる
2回目の研究では、144人の参加者を対象に、これらの結果をさらに発展させるべく、仕事中の迫られる「選択」に関して焦点を当てました。
1回目の研究で得られたルールが厳しい条件と緩い条件に加えて、選択権の多い条件と少ない条件を被験者に与えました。
選択権が多い条件の参加者は、どのメールにどのような順番で返信するか、どの算数の問題を解くか、どの顧客の要望を電話で受け付けるかを選択できます。
しかし、選択権の少ない条件の参加者は、これらのことが一切できませんでした。
その結果、選択権の多さは、自転車に乗っている時間との間に直接的な関係はありませんでしたが、仕事をコントロールできているという感覚が参加者の自己決定感(自分は仕事をコントロールしていて、自由に選択できるという感覚)に影響を与えることで、自転車に乗っている時間に間接的な効果があリました。
選択権が少ない条件の人は、自己決定感が低いと評価され、その結果、サイクリングの時間が短くなりました。
反対に、選択権が多いと自己決定感が向上し、間接的に職場外でも自発的な行動が増えることを示しました。
むしろ、これらのことが個人の生活にまで影響し、余暇を思うように使えなくなったりするのです。
研究チームは、仕事と運動の関係には、他のメカニズムも関係しているのではないかと考えています。
いずれにしても、厳しく忙しい仕事は、私たちの全体的な健康状態だけでなく、仕事以外のモチベーションにも影響を及ぼす可能性があることは明らかです。
まとめ
ポイント
・忙しく厳しい職場にいると運動量が減り、運動不足に
・仕事に対するコントロール感が必要
・仕事内容は、仕事以外のプライベートな時間にも影響を与える