間違った採用評価基準
今回紹介するPersonnel Psychologyからの研究によると、
日本のほぼすべての面接で、重きを置いている「ある面接採用基準」が間違えていることがわかりました。
それは、、、
- 「過去の仕事経験」
- 「どれくらいの期間、過去の仕事を続けていたのか」
以前の仕事経験は当てにならない
Personnel Psychologyからの研究で、
81件の研究のメタ分析(論文をかき集めてそこから結論を導く分析)メタ分析は論文の中で一番精度が高く信憑性はあるでしょう。
<研究内容>
過去60年間に実施された80以上の職場と採用後の5年間採用者を追跡調査してわかったこと。
- 仕事の量や種類の経験は、今後の活躍との相関はほとんどなかった
過去の仕事経験がどれくらい当てにならないか
- 仕事のパフォーマンスとの相関0.06 (ほとんど正相関なし)
- トレーニングでのパフォーマンスとの相関0.11(ほとんど正相関なし)
- 離職率との相関0.00(全く相関がない)
研究者の意見としては、
組織は【似たような経験を持つ応募者を好む】ことが明らかになっています。
面接官は「仕事の経験がありますか?」と尋ねる。しかし、多くの組織で使われている過去の仕事経験基準は、新しい組織での活躍の指標にはならない。
転職されるのは会社にとって大きな損失なので、雇う側は、応募者がどれだけの仕事の経験を持っているか。その仕事の継続期間を基準に考えるのは当然のこと。しかし、就職前の経験や期間と、採用後の就労期間との間に、ゼロの相関関係がある限り、コレは良い指標とは言えないのが事実。
さらに、研究者はこのように締めくくっています。
「経験が重要ではないと言っているのではなく、より明確な証拠が現れない限り、組織は以前の仕事の経験で今後の活躍や離職可能性の予測をするだろう。しかし、それは現実的ではない。」
つまり、「過去の仕事経験がこれから配属されるであろう仕事内容と一致しているからといって、離職しないわけではないよ」とのことでした。冷静に考えると、そりゃそうだよなと思うわけですが、採用する側としては意外と罠なのかもしれません。
本論文を活かすには
- 事前に、組織の性格をある程度把握し、
- 組織の性格と自分の性格の共通点をアピールする
面接官は、自分たちの組織に似た性格の人を採用しがちというバイアスがあるので、そこを逆手にとる戦法をとりたいものです。