一人っ子へのステレオタイプ
一人っ子は、兄弟のいる子供より自己中心的で甘やかされた人が多いと思うひとは多いのではないでしょうか?
そう思っている人はあなただけではありません。
一人っ子は甘やかされ、自己中心的であるという固定観念があることは確かです。
しかし、2019年にドイツで行われた研究では、「一人っ子は自己愛が強い」という考えが広まっているが、それは間違っていると結論づけられました。
また、中国の研究チームは、「一人っ子はより利己的である」という固定観念の証拠を見つけることができませんでした。
兄弟がいる人は、一人っ子は自己中と思いがち・・・
陝西師範大学のXuegang Zheng氏らは、Social Psychology and Personality Science誌に掲載された論文で、兄弟のいる人の間では、この「一人っ子は自己中心的な性格である」というステレオタイプが実際に存在することを初めて確認しました。
一貫して、兄弟がいる人は、「一人っ子は兄弟がいる子供よりも社会的ではなく、利己的である」と評価する傾向がありました。
しかし、今回の研究では一人っ子は、「兄弟がいる人でも、一人っ子の人であっても、兄弟の有無によって性格は変わらない」と評価していました。
この固定観念は、「一人っ子は親に注目されて育つ」という考えが一因となっていると考えられます。
もしそうなら、良い面もあるかもしれません。
例えば、一人っ子は親との関係が良好で暖かいと報告する傾向があるという研究結果もあります。
このことから、一人っ子は身近な人に対してより利他的な態度をとるのではないかと研究者たちは考えました。
自己中かどうかは兄弟の有無に関係ない!?
中国の学生99人(約半数が一人っ子)を対象に、まず、両親、友人・知人、見知らぬ人など、社会的な距離が異なる人々を用意しました。
実験では、各学生に少額のお金を渡し、そのお金を自分だけのものにするか、社会的距離の尺度で指定された対象者と共有するかを質問しました。
もし、一人っ子が、兄弟がいる人よりも、自己中心的であるならばもらったお金を自分のものにするはずです。
しかし、そうではありませんでした。
今回も、兄弟がいる人、一人っ子の人の間の結果には差がありませんでした。
これらの結果は、「一人っ子は自己中である」というステレオタイプが間違っているという結論を裏付けるものです。
ただし、これらの研究ではサンプルサイズが99人の学生という人数や対象年齢などの範囲が小さかったことに注意すべきです。
なので、この研究結果は中国だけでなく、中国全土にも一般化できないかもしれない(サンプルが全国的に代表されていないため)。
また、これらの研究はすべて、一人っ子ではなく、兄弟姉妹がいるかいないかにかかわらず成人を対象としています。
とはいえ、今回の結果は、一人っ子や「一人っ子の大人」に対する一般的なステレオタイプを否定する証拠となりました。
まとめ
ポイント
・一人っ子は自己中というステレオタイプは嘘!
・兄弟がいる人ほど、「一人っ子へのステレオタイプ」が強い
・むしろ、一人っ子の方が親との関係が良好である