「授業メモはノートがベストだ!」という過去の論文がある
2014年に発表された、パム・ミューラーとダニエル・オッペンハイマーによる論文で、「授業でメモを取るのは、ノートパソコンよりもペンと紙でメモを取った方が良い」という結論が世界中で有名になりました。
この論文は世界中のメディアで取り上げられ、学術的にも注目され、1,100回以上引用されています。
Psychological Science誌に掲載された新しい論文の著者は、教室からノートパソコンを禁止するかどうかについて教育者が議論する際に、しばしばこの論文が取り上げられていると指摘しています。
しかし、米国タフツ大学のHeather Urry氏らが、このオリジナルの研究を直接再現してみたところ、その結果は異なるものでした。
つまり、紙とペンでメモを取った参加者は、ノートパソコンを使った参加者よりも成績が悪かったのです。
再現してみたけど、「やっぱりノートがベストだ!」とは言い切れなかった
今回の再現実験では、オリジナルの研究と同様、142人の参加者はすべて大学生(今回はプリンストン大学ではなくタフツ大学)で、約15分のTED講演5本のうち1本を見ながらメモを取りました。
その後、約30分間時間を置いた後、気晴らしのタスクをこなしてもらいました。
その後、講演で紹介された事実や概念に関するクイズを行いました。
研究チームがデータを分析したところ、オリジナルの研究と同様に、パソコンを使ってメモを取った参加者は、全体としてより多くの単語を記録し、トークからより多くの逐語的なフレーズを記録しました。
また、話の内容を思い出すことに関しては、どちらのグループも同じような結果となりました。
しかし、MuellerとOppenheimerは、講演で提示された概念を思い出す際に、手書きのメモが有利であることを発見しましたが、Urryたちはそうではありませんでした。
もちろん、これは1つの再現実験にすぎません。
そこでチームは、直接比較するのに十分な類似性があると思われる研究を合計8件(自分たちの研究と原著論文の2件を含む)特定しました。
このミニメタアナリシスでも、ノートでメモした方が概念的な記憶に有利であるという結果は得られなかった。
Urryたちは、自分たちの研究も含めて、これらの研究にはいくつかの限界があることを認めています。
例えば、TEDの講演は短いものであり、大学の一般的な講義とは大きく異なります。
しかし、2014年に行われたオリジナルの研究の影響力を考えると、今回の再現性のなかったという結果はとても重要です。
「ダニエル・オッペンハイマーによる論文を引用して、授業でのメモはパソコンではなくノートで取るべき!と断言するのは早すぎるかも知れません」
まとめ
ポイント
・ノートでもパソコンでも記憶、理解度に大差なかった
・過去の論文を再現できなかったけど、条件が若干違ったことが原因かもね
・現状、メモは、ノートでもパソコンでも使いやすい方で良いよ