本記事の内容
「ゴールデン・サイレンス」を体験した時の話
以前、アルバイトで営業の電話をかけていたとき、先輩営業マンが「うちのサービスはお客様のニーズに合っていますか」と質問したときのことです。
電話の向こうは沈黙でした。
1秒
2秒
3秒
何も返事はありません。
お客様は質問を聞いていなかったのだろうか...?
4秒
5秒
私が口を挟むのではないかと思ったのか、先輩は手を挙げて私を止めました。
そして、ようやくお客様が答えてくれました。
私はこの時、初めて「ゴールデン・サイレンス」を体験しました。
先輩はその時何をしていたのか?何のために沈黙を貫いたのか?
「ゴールデン・サイレンス」の仕組みと、使い方をご紹介しましょう。
「ゴールデン・サイレンス」の仕組み
「ゴールデン・サイレンス」は、セールス・トレーニング会社であるミラー・ハイマン社が開発したセールス・コンセプトです。
具体的には、質問をした後、答えが返ってくるまで最低でも4秒(状況によってはそれ以上)待つ、というシンプルなものです。
沈黙は、「営業担当者がお客様から受け取る情報の質と量を大幅に向上させる」といい、同社の説明によれば、「黄金」(ゴールデン)なのだそう。
それはなぜか?人は沈黙に不快感を覚えるので、沈黙を破るようにさりげなく促すことができるのです。
調査によると、この現象は日本語圏の人で、約8秒の沈黙で不安を感じ始めるそうです。
さらに、セールスコールでは顧客のニーズを理解することが重要ですが、営業担当者が一方的に話しているときにそれはできません。
「お客様と会話をしましょう」とのこと。
沈黙は交渉の助けにもなる
沈黙は営業電話に限ったことではなく、交渉を必要とするあらゆる場面で有効です。
人の心を読むのは難しいので、交渉中に沈黙することは、立場の強さや、自分の思い通りになるなら交渉から手を引く意思があることを示します。
さらに、黙っていることで、相手はあわてて、十分に考えられていないことを言ってその穴を埋めようとするかもしれませんし、自分の立場を危うくするかもしれません。
良い例を紹介します。
ケイティ・ドノバンは、「先に言った者勝ち」という格言をもっています。
米国のコンサルタント会社Equal Pay Negotiationsの創業者である彼女は、キャリアの初期に、営業職の面接を受け、その場で採用されました。
面接官が給料について告げると、彼女は「来週連絡します」と言って黙って、沈黙を生ませました。
彼はオファーした給料を上げました。
彼女はその戦術を繰り返しました。
最後の3回目に、面接官は最初のオファーより20%高いオファーを出しました。
日本では、面接時に給料交渉をしませんが、米国では面接時に給料交渉を行います。
その場で、「OK」と言わず沈黙を貫くことで、給料交渉を有利に進められた良い例です。
ゴールデン・サイレンスを使いすぎない
ゴールデン・サイレンスは、一芸に秀でたものではありません。
うまく使えば、自分の立場を強化したり、議論を促したりすることができますが、使いすぎると相手に迷惑をかけたり、操作されているように感じられたりします(特に相手がその戦術に気づいている場合)。
沈黙を、会話に「勝つ」ための仕掛けと考えるのではなく、より効果的なコミュニケーションの方法と考えましょう。
まとめ
ポイント
・ゴールデン・サイレンスとはわざと沈黙を生ませること
・日本人の場合は、4〜8秒ほど沈黙の時間を与えると効果的
・沈黙を破るために墓穴を掘らせる戦術
・使いすぎはやめましょう(嫌われます。)