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未来への希望を持つことが危険な行動を防ぐことにつながる

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新年の抱負を掲げることはメンタルに良い

新年の始まりには新しい目標を立て、それを達成するところをイメージすることは誰もがしたことがあるでしょう。
「新年の抱負」はいつまでたっても実行できないというジレンマを抱えている人がいるかも知れませんが、少なくとも将来への大きな希望を持っている点ではメリットとも言えるかもよ?という研究結果が発表されました。

現在の状況に、問題を抱えていた場合でも希望を持ち続けることができれば、飲酒、薬物摂取、ギャンブル、過食などのリスクを伴う行動を避けることができるかもしれないと、Journal of Gambling Studiesに掲載されたイーストアングリア大学のShahriar Keshavarz氏らの研究で明らかになりました。

この研究では、特に「相対的剥奪」という視点に焦点を当てています。
これは、「自分の生活が他の人よりも良いのか悪いのか」という思考のことを指します。(比較癖のようなものです。)
これまでの研究では、相対的剥奪感のスコアが高い人は、リスクを取るなどの「不適切な逃避行動」をとりやすいことが示唆されていました。
しかし、希望を持つことでそのような行動を改善し、人々を潜在的な危険から守ることができると、研究チームは主張しています。

希望を持っている人ほど危険なリスクを犯しにくくなる

最初の研究では、51人の参加者が、まず2つの質問に回答しました。
1つは希望に関するもので、参加者は、目標に向かうエネルギーがあるかどうかを問う質問。(「私はやる気を持って目標を追求するタイプである」)
計画が失敗しても立ち直るための別のルートがあるかどうかを問う質問。(「私は窮地を脱する方法をいろいろと考えられる」)
これらに関する質問にどれだけ当てはまるかを測りました。
2つ目は、他の人と比べてどれだけ自分は恵まれているかという「相対的剥奪度」を調べました。

次に、参加者はリスクテイクの課題を受けてもらいました。
参加者は、0〜100メートル離れた場所にボールを発射できるアニメーションの大砲を見て、ボールがどこに落ちると思うかを賭けてもらいました。
距離を選択する際には、5メートルの範囲をカバーする「高リスク」(例:ボールの着地点は20〜25メートル)、10メートルの範囲をカバーする「中リスク」(例:20〜30メートル)、「低リスク」(例:20〜40メートル)の3つの選択肢がありました。
リスクが高ければ高いほど、参加者が獲得できる金額は大きくなります。

相対的に恵まれていないと感じている参加者は、目標指向のエネルギーとリスクテイキングの間に逆の関係を示しました。
つまり、このグループでは、目標達成のためにエネルギーを向けるという「希望」を感じている人ほど、リスクテイキングが低かったのです。
相対的に恵まれていると感じている人は、逆に希望を持っている人ほどリスクテイキングが高くなるという結果になりました。

2つ目の研究では、50人の参加者が、希望と相対的剥奪感に関する測定項目を再び記入した後、「比較裁量所得」という(偽の)指標上での自分の経済的な立場を示されました。
ある参加者は、自分が恵まれていないことを示すスコアを見せられ、別の参加者は、自分は比較的恵まれていると見せられました。
その後、被験者は最初の実験で行ったリスクテイクの測定を行いました。

その結果、生活が困窮していると感じさせることで、より多くのリスクを取るようになることがわかりました。
しかし、この実験でも、自分の目標に対して希望を感じていると答えた人は、希望を感じていない人よりもリスクを取らないことがわかりました。 また、比較的恵まれた環境にいる参加者は、希望がリスクテイクを増加させるという逆のパターンを示しました。

最後の研究では、過去1年間に一度でもギャンブルをしたことのある122人の参加者を対象としました。
参加者は、希望尺度と相対的剥奪尺度に加えて、ギャンブルの深刻度を1(問題なし)から4(問題あり)までの尺度で測る指標にも記入しました。
その結果、参加者の27%がギャンブル依存症ではなく、26%が低レベルの問題を抱え、38%が中程度の問題を抱え、9%がコントロールを失う可能性のある問題ギャンブラーであることがわかりました。

これまでの研究と同様に、比較的恵まれていると答えた参加者のうち、より目標に向かって行動するエネルギーを示した参加者、希望を持っている人は、ギャンブルの問題を抱える可能性が低いことがわかりました。
相対的に恵まれていると感じている参加者では、希望とギャンブル依存症の重症度との間に関係はありませんでした。

したがって、希望は、日常生活に苦痛を感じている人にとって、ギャンブル、飲酒、薬物摂取などのリスクの高い、あるいは潜在的に有害な行動を回避するための重要な手段となる可能性があります。

研究チームは、

研究員
自分が恵まれていないと感じている人は、ネガティブな感情を和らげたりするために、リスクの高い行動をとるのではないかと推測しています。
このような状況における希望の重要性を理解することは、行動的介入を研究するための良いきっかけになるかもしれません。

まとめ

ポイント

・希望を感じている人は、危険なリスクを犯しにくくなる

・自分が恵まれてると思えば、希望があることでリスクを取りたくなる場合がある

・「希望」を利用することで、自分のリスクテイク感覚を操ることができる

  • この記事を書いた人

hiro

ブログ・プログラミング歴6年目です。 新卒で文系からプログラマに就職→ピープル大学に入学(社会人大学生)→転職。 平均的な日本人がそこそこの努力でどこまで行けるかに挑戦中。 Gigazineが大好き。

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