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【意外】「常に感謝する人」は危険。感謝の気持ちは、残虐な行為を命じられても従いやすくなるぞ!研究論文

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感謝の気持ちが起こすデメリット

感謝の気持ちは、ポジティブな感情として広く認識されています。
感謝の気持ちを持つと、人はより親切に、寛大に、公平に接することができます。
2017年に行われたメタ論文では、感謝の気持ちは人間関係の構築に重要であるとされ、この認識が広く世間に広まりました。
しかし今回、「Emotion」誌に掲載された新しい研究では、感謝には暗黒面があることが示されました。
シンガポール国立大学のEddie M. W. Tong氏らは次のように書いています。

研究員
常識的に疑わしい行為を強要された時、感謝の気持ちがあることで社会的影響力の強いものに対してより服従しやすくなることが示されている。

感謝の気持ちで残虐な命令にも従いやすくなる

研究チームはまず、96人の学生を対象に、幸せな出来事や感謝の気持ちを感じた出来事を思い出して書いてもらいました。
そして、現在の感謝や幸福感を評価した後、参加者はコーヒーグラインダー(コーヒー豆をすり潰す機械)と20個の小さなカップのある場所に移動しました。
すると、それぞれのカップに生きたミミズが入っています。
実験者は、真面目な雰囲気を漂わせながら、コーヒーグラインダーのスイッチを入れて、こう言いました。
「30秒以内にできるだけ多くのミミズをこのグラインダーに入れて、ミミズをすり潰してください。」

参加者には知らせていませんが、実際はミミズが潰されないように、途中でストッパーが入っていました。
また、反対をした人には、作業を続けるように 「厳しく」指示したそうです。
4回の研究で合計623人の参加者のうち、ミミズをコーヒーグラインダーに投入することを拒否したのは1人だけで、その後、参加者全員に十分なデブリーフィングが行われました。
その結果、感謝の気持ちが強いと答えた参加者は、幸福感が強いと答えた参加者よりも、より多くのミミズを投入していることがわかりました。
これは、何らかのポジティブな感情ではなく、感謝の気持ちがミミズの数を増やしていることを示していると考えられます。

どうして残虐な命令にも従うようになるのか?

最後の研究では、感謝の気持ちを持っている人は、人間関係を調和させたいという気持ちが強いことが示されました。
つまり、他人の要求に従う可能性が高いことの説明にもなります。
また、感謝の気持ちを持つように仕向けられた被験者の中には、「社会の調和は重要だが、時には他のことを優先すべきだ」と言われた人もいました。
すると、ミミズの数が減ったそうです。

もちろん、感謝の気持ちで従順さが増すことは良いことかもしれません。
感謝して従順になった子供は、例えば「寝室をきれいにしなさい」という親の要求に従う可能性が高くなります。

研究員
先行研究では、他人と協調したいという気持ちが、他人の要求をより受け入れることを促すことがわかっていました。 しかし、今回の発見は、先行研究を上回るもので、感謝の気持ちが従順さを助長し、その結果、道徳的価値に反するような嫌悪感を抱かせる行動につながる可能性があることを示しています。

まとめ

ポイント

・感謝の気持ちで残虐な命令にも従いやすくなる

・人間関係を調和させたいという気持ちが強くなる結果、従順になる

・「調和も大事だが、時には他も優先してね」と忠告されると少し従順さが減る

  • この記事を書いた人

hiro

ブログ・プログラミング歴6年目です。 新卒で文系からプログラマに就職→ピープル大学に入学(社会人大学生)→転職。 平均的な日本人がそこそこの努力でどこまで行けるかに挑戦中。 Gigazineが大好き。

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