科学を信じることで、人は誤った情報に騙されにくくなるのでしょうか?
「陰謀論を信じる人はどのような人なのだろう?」
「自分は騙されやすい性格なのだろうか?」
「嘘を嘘と見抜けない人の特徴って??」
騙されやすい人の特徴
Journal of Experimental Social Psychology誌に掲載された新しい研究で、嘘を嘘と見抜ける人の特徴が明らかになりました。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のThomas C O'Brien教授らの研究によると、科学に対する信頼度が高い人は、誤った情報を信じる可能性が低いことがわかりました。
しかし、その誤った情報に科学的な裏付けのある内容が提示されると、彼らは簡単に騙されてしまうのです。
つまり、科学を信じる人は騙されにくいが、科学っぽい説明をされると騙されやすいいので気をつけましょうとのことです。
【研究1】エボラ発祥の陰謀論を信じる人の研究
最初の研究では、532人のオンライン参加者が、「エボラウイルス」に関する記事を読みました。
この記事には、ウイルスが生物兵器として政府の研究所で作られ、その後隠蔽されたという内容が書かれていました。
この記事は、陰謀論者がネット上で実際に行っている書き込みを模して、非公式に書かれたものでした。
以下の2種類の記事を用いて、参加者がどれほどその記事を信じたかを調査しました。
- 研究室で行われた研究が陰謀の存在を証明しているという科学者の言葉を引用した記事(科学的な記事)
- 活動家の言葉を引用した記事(非科学的な記事)
参加者は、記事をどの程度信じたか、時事問題を扱う授業で共有すべきと感じたか、などの質問に答えました。
その結果、科学への信頼度が高い人や方法論への理解度が高い人ほど、陰謀論を信じる可能性が低いことがわかりました。
科学への信頼度が高い人は、科学者の言葉が引用されている場合、引用されていない場合に比べて、記事を信じる傾向が強かった。
同様に、このグループは、明らかに科学的な内容の記事であれば、その記事を時事問題を扱う授業で共有すべきだと答える傾向が強かった。
科学への信頼度が低い人にとっては、科学者を引用してことは、その記事を信じるかどうかに違いは出ませんでした。
【研究2】遺伝子組み換えが腫瘍の原因陰謀論を信じる人の研究
次の研究では、遺伝子組み換え食品に関する陰謀論を信じるかどうかを調査しました。
参加者全員が、遺伝子組み換え食品が腫瘍の原因となり、それが隠蔽されているという記事を読みました。
以下の2種類の記事を用いて、参加者がどれほどその記事を信じたかを調査しました。
- 陰謀論を支持する実際の科学論文を参照した記事(科学的な記事)
- 科学的な内容を含まない、活動家の主張を書いた記事(非科学的な記事)
結果は同じで、科学を信じている人は全体的にこの陰謀論を信じる確率が低かった。
しかし、科学的とされる内容の記事を読むと、信じるレベルが上がった。
科学を信じない人は、内容にかかわらず陰謀論を信じる傾向がある。
しかし、科学を信じる人は、(疑似)科学的な内容が含まれている場合にのみ、陰謀論を信じる傾向がみられました。
まとめ
- 科学を信じない人は嘘に騙されやすい
- 科学を信じる人は基本的には騙されにくい
- 科学を信じる人でも、科学っぽい説明をした嘘に騙されやすい