目の見えない人も色がわかる
色は一般的に、目の見える人だけが認識できるものだと思われています。
生まれつき目の見えない人は、「バナナは黄色い」などの色に関する事を知ることはできても、目の見える人のように複雑な色の理解はできないと思われがちです。
しかし、ジョンズ・ホプキンス大学のJudy Kim氏らがPNASに発表した新しい研究によると、これは間違っていることがわかりました。
それどころか、目の不自由な人も、色に対する豊かな理解を持っていることがわかりました。
何色か推測する能力も差がない
研究チームは、目の見える人と先天的に目の見えない人を対象に、色に関するさまざまな種類の知識を調べました。
研究はいくつかの実験に分けて行われました。
実験は、実在する物体の色に関する因果的説明力と連想的記憶力を調べることでした。
参加者は、54個の物について、自然のもの(例:イチゴ)と人工的なものに共通する色を指摘するよう求められました。
後者のグループでは、色が目的にかなっているもの(例:一時停止の標識は危険だから「赤」)と、そうでないもの(例:本)がありました。また、2つの同じ物体が同じ色をしているかどうかも示されました。
物の色が異なる理由を説明する際にも、両グループは比較的よく似ていました。自然物については、目の見える人も見えない人も、約3分の1の人が「そういうものだから」と答え、同じくらいの人が「光合成で植物が緑色になる」というように、色を説明するためのプロセスを訴えました。
機能的な色を持たない人工物については、両グループともに、色は美的な選択によるもの(64%対44%)、または、その物の素材に由来するもの(18%対13%)と説明しました。
最後に、機能的な色を持つ人工物については、両グループの約半数が「文化的な慣習によるもの」と説明し、約4分の1が「物体をより見やすくするために特定の色が使われている」と答えました。
この研究は、視覚障害者と健常者が色に関する共通の知識を持っていることを見事に示しています。
特に物の色に関する連想知識(例:バナナは黄色)に関しては、色の自然な発生と応用に関する理解において、両者はよく似ています。
目の不自由な方は、色の機能を深く理解し、色のカテゴリーだけで全く新しい物体を推論することができ、視覚のある方とよく似ています。
著者らはこのデータから、
と考えている。
目が見える人もそうでない人も、色に対する感覚は変わらないということですね。
また、色が何色かを推測する際のプロセスも目が見える人と変わらない思考を辿るようです。
これからは、視覚障害者と先天性視覚障害者の両方において、色に関する知識の枠組みが何歳で発達するかが明らかになるかもしれません。
まとめ
ポイント
・目が見える人とそうでない人の色に対する知識にそれほど差はない
・目が見えない人も、色に対する価値観は同じ(赤は危険など)
・何色か推測する思考も差は見られなかった